バリューとは何か
わかっているようでわかっていない「バリュー」について考えてみる
スタートアップが成長するには、いいプロダクトを作って顧客に届けることが重要。顧客に届けるにはバリューを感じてもらい、購入して貰う必要がある。 この記事では「バリューとは何か」について掘り下げる。 タイトルではあえて「バリュー」という言葉を使っているが、本文中は同義の「価値」という言葉を使う。
企業と顧客の関係
企業とは利益を目的として活動する組織である。 利益とは顧客が企業の商品やサービスを購入してできた売上で生まれる。 つまり、企業は顧客に商品やサービスを購入するよう行動を促す必要がある。
顧客の購入と価値の関係
では顧客が商品やサービスを購入することについて考えてみたい。 物々交換にせよ貨幣経済にせよ、顧客が商品やサービスを購入する時、その顧客は対象に対して必要な対価を支払うだけの価値を感じている。 言い換えると何らかの商品やサービスがあり、それに対する情報がユーザーに届けられ、顧客が価値を感じた結果「購入」という行動につながる。 では「価値を感じる」とは何か。
そもそも、何に「価値を感じる」かは人それぞれだ。これを「価値観」という。 ある人に価値を感じてもらうということはこの価値観を理解することが必要。 価値観を深く考えずただサービス名を連呼するようなプロモーションもあるが、これから成長しようとするスタートアップにとっては無縁のことだと考えると、「誰がどのような価値観を持っていて、どのように情報を届けると購入してもらえるか」という問いに答える必要がある。
顧客の行動を促す
顧客が価値を感じると購入につながると書いたが、どのような情報を届けるとよいだろうか。 結論「その顧客が知らない、具体的でその行動により得られる価値が明確なもの」を届けるとよい。
つまり
- 顧客が知らない情報を提供する
- 実行可能なアクションを説明する
- 次の行動を喚起する
ということが必要だ。 具体例を挙げる。
顧客の行動を促せないプロモーションの例
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この例は一見数字が示され新しい情報が提示されているように見えるが、内容がまったくない。見た人が具体的に何をすればいいかわからないし、とりあえず注意だけを喚起しているものだ。これでは無知な顧客は行動するかもしれないが、良識のあるほとんどのユーザーは行動しない。顧客はバカではない。 このようなマーケティング手法は SNS 時代に商品や顧客の嗜好が多様化した時代には通用しないやり方となっている。
顧客の行動を促すプロモーションの例
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この例ではユーザーが求めている原理原則の説明や、すぐに実践できる行動について具体的に説明してある。なので顧客は価値を感じ、次の行動が喚起される。もちろんここで説明した 3 つの内容をすでに知っている顧客もいるだろう。その人達は行動が喚起されない。だがそれでよい。この投稿は投稿内容から「ダイエットの原理原則を知らないダイエット初心者向けにノウハウを提供し、彼ら彼女ら向けの商品の購入を促す」のが狙いだと言える。
このようなマーケティング手法が成立する背景には、インターネットにより商品を直接購入できるようになり、SNS の普及により大量の情報の中から目を留めてもららわなければならないため、顧客にはより具体的で価値の高い情報を提供し、その場で行動して貰う必要があるためだ。
バリューとは
つまりバリューのある情報とは、以下のようなもの。
- ひと目見ただけでわかる
- 今まで知らなかった具体的な新事実
- 知るとすぐさま行動が変わる
ここまで来ると「これを見れば 1 ヶ月以内に 100 万円手に入ります!」といった情報にはバリューが薄く、「Typescript を学べば 1 ヶ月以内に 100 万円の案件を受託できます!」のほうがバリューが高いということが理解できるはずだ。